• ncu807

味方

昔話だ。

父は渡島支庁経済部長として 函館にいた。

赴任そうそう 地元有力企業の役員を 部長室に呼んで こう告げた。

「あそこの山に

 設置されている御社の看板を

撤去しなさい。」

この看板は 長年違法状態でありながら 放置されてきた。

相手が地元有力企業と 言うこともあり なかなか解決出来ない 引き継ぎ案件だったらしい。

着任の顔合わせと 思って来た会社役員は 苦虫を噛み潰したよう顔を していたらしい。

数日後 父は支庁長室に呼ばれた。 そこには 国会議員の先生がいた。

有力企業の「依頼」を 受けて来た「先生」に 父はこう言ったそうだ。

「これは地方行政の問題

先生は国政に

 専念されるべきでは

ありませんか?」

正論に反論出来ず 国会議員の先生は 怒り心頭の顔をして 帰っていったらしい。

父はすぐに 会社役員を呼びつけた。

「国会議員に頼んで

物事を解決出来ると

 思っているなら

これからは役所に

 陳情来る必要はない!

早く看板を撤去しなさい。」

その役員は恐れ入って 飛んで帰ったが

数日後 泣きを入れてきた。

実は撤去には 多額の費用がかかる。

その役員もなんとか 良い解決策がないかと 父に相談しに来たわけだ。

実は既に それは折り込み済みで 父には腹案があった。

「看板を塗り替えて

 北海道に寄贈しなさい。」

塗り替えなら 撤去費用の1/10で済む。

そして

「ゆっくり走ろう北海道」

国道5号線で 函館市に入る山の中腹に 北海道の標語が入った 看板が現れた。

今は既に撤去されて無いが 生前年老いた父が酔って話した 自慢話のひとつ

看板エピソードだ。

父はよく言った

「俺は役人ではなく悪人だ。

だが悪代官ではないぞ」

不正は勿論 古い慣習や間違った前例を嫌い それと闘い続けた 変わった役人だった。

そうした 悪習を良しとする人からは 当然嫌われた

役所内外から。

それでも30年の役所人生で 自分を貫き通した。

父はよく言った

「7割を敵にまわしてもいい。

3割の志高い仲間を作れ!」

私は気が弱い。

出来れば

3割の仲間と

7割の支持を得たいものだ。


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