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外国人材の力、可能性を最大化することの社会的役割

髙橋明美(以下髙橋):本日のゲストは株式会社ジンザイベース代表取締役CEO、中村大介様でございます。
そしてNCU合同会社CEOで経営者育成研究会代表の芳永尚、私は進行役の髙橋です。どうぞよろしくお願いいたします。

「外国人材の力、可能性を最大化することの社会的役割」としてサービスを展開されておられる中村社長のお話を伺いたいと思います。

芳永尚(以下芳永):中村さん、待ってましたよ。今日はどうもありがとうございます。

中村大介(以下中村):恐縮です。ありがとうございます

芳永:今の事業を始められた経緯をお伺いしてもいいでしょうか?

中村:はい。私、前職では共同経営者として事業を展開しておりました。事業領域は外国人の就労支援だったのですが、その取り組みの中心が技能実習制度の推進だったんですね。海外の方を呼んできて、就労者が足りなくて困ってるという日本の事業者の方とマッチングさせるということなんですが、ただ、ある問題が解決できていないなってずっと思っていたんですね。その問題というのが、この制度で来た方々は「研修」という建前でくるんですけども、その背景があるために転職ができないんですよね。

そこがいい会社であれば転職しなくてもいいいわけですけども、そうじゃないっていうのも一定数ありましてそういった時に、彼らの選択肢としては辞めるわけにもいかないわけです。日本に来る時にも大金払って来ていますので。

ちょっと環境が厳しいってなった時に「失踪」という手段をとることもあったりしたんですね。それが結果的に日本国内でも社会問題になったりして、その事業をずっとスケールさせていくということに違和感を感じていたなかで、2019年特定技能っていう制度ができまして、これは実習ではなくて、就労者としての提供が認められるものだったんですよ、転職ができるものです。

そこで、これはチャンスだと思いその会社を売却をして、自分の方向性で進めていけるように2021年6月に現在の会社で事業を展開させていただいているというそういう背景です。

芳永:会社を売却してまでやりたかったその原動力って何だったんですかね?

中村:もともとこの領域でやっていこうと思っていたことも今やっている方向性もそうなんですけども、まあ社会問題についてどうにかできないものかっていうふうに思ったことがあってですね。そこをいかにして解決するのかと問題意識を持ったところですかね。

芳永:今、若い人の中にはその社会問題に対して事業とか仕事の中でなんとかしたいと考えられている人、増えていらっしゃいますよね。そういう意味では中村社長はその先を進んでいるようなイメージじゃないでしょうか?

中村:そうですね。それもありましたし、あと、学生のころから海外に行くことがかなり好きだったんですけども。自分が持っている圧倒的な当たり前の価値観を覆す最も手っ取り早い方法が海外に行くことだと僕は思っていて、いろいろな当たり前だと思っていたことが当たり前じゃないんだとなった時に初めて感謝の気持ちを持つことがあってですね。

そこから日本を好きになったっていうのと、あと一方で海外において日本の当たり前が当たり前じゃないことが結構多いなと思っていて、一例ですがフィリピンでアイランドホッピングというイベントみたいのがあっていろんな島に行ったんですけど、ある島で出会った少年と将来の目標はとか、ちょっと熱い話をした時に、彼はセブ本島に行くことだと。今の地域でだいたい月収が数千円でセブ本島にいけば2〜3万円とか、まあ今の十倍ぐらいの水準の収益をとることができる。僕の夢としては家族のためにその本島に行くことなんだと聞いた時に、これだけ高い目的意識や向上心を持ってる人でもそこの世界しか知らなくって、これって世界的に見てもなんか機会損失なんじゃないかなと思って、

じゃあ一方で日本でそういう就業機会を提供とかできるようであれば、もう2〜3万円どころじゃないそのさらに10数倍を提示することができて、一方でより優秀な人材も採れたりするウィンウィンになっていくんじゃないかなみたいな原体験があったりしてですね。ですので、その当たり前の基準っていうのが大きく変わるような体験を何度か体感してきたっていうところが一番大きいかもしれないです。

芳永:まさしくそこ、キモですね。

中村:そうかもしれないですね。まあ、今振り返るとそういう背景があったような気がしますね。

芳永:じゃあそこにその体験から発展して、今の事業内容をもう少し詳しくお伺いしてもいいですか?

中村:はい。今のフェーズで言いますと、特定技能っていう在留資格がありまして、この在留資格で就労できる外国人の方を紹介させていただいたりとか、入社してから定着するための支援であったりとか、もしくはその外国人の方々がさまざまな就労の機会が得られるような教育の支援っていうのを一貫してやらせていただいているような会社でございます。現状ですとベトナム、インドネシア、ネパール、ミャンマー、タイなどある程度思いつくような東南アジアの国々の方々っていうのを大体合計2万人ほどのデータベース化をさせていただいて、その方々に情報発信をしながら、一方で日本企業で人がいなくて困ってらっしゃるという会社さんと条件が合致するようであれば、そこでマッチング推進をさせていただくというようなことを主軸としてスケールのために活動しているという形ですね。

芳永:どうやってデータベース化を行なったんですか?

中村:ここはですね。もうSNSをひたすら頑張りました。

芳永:SNSでこう広がるものなんですか?

中村:各国ごとに各国の言語でSNSを構築しまして、日本についての情報を発信したり求人情報であったりありとあらゆる形でコンテンツを作って発信していくとですね、本当におもしろいように爆増していってですね。今ではおよそ2万5千人ぐらいになるかもしれません。

芳永:今求人をご希望なさる企業さんって、全国的に増えていってる感じなんでしょうか?

中村:そうですね。これは日本人としてちょっと「大丈夫かな? 若者は」って思う部分もあるんですけれども、全国的にかなりオーダーが増えている傾向もありますし。一度採用して社員として就業させた会社さんからの追加ってのがめちゃくちゃ増えている傾向がありまして。ちょっとどんなものかと採用してみたけど、めちゃくちゃ優秀でストイックで頑張るし残業もウェルカムみたいな今の日本人とは真逆の方が多くて、というところで、逆に日本人の雇用を控えているみたいなことおっしゃるケースも結構あったりしていいまして。乗っ取られるかもしれないですね、次は(笑)。

芳永:(笑)まだまだ広がるんじゃないですか

中村:そうですね。 広がっていくとは思います。まあ、今もずっと拡大しつつありますし。外国人の就労者、まあ、日本に在留してる人の数っていうのがどんどん増えていってますので。日本人は減っていっていますけど(苦笑)。

芳永:そうですね。確か去年、年間出生数80万切ったって大騒ぎしてましたね。

中村:なんかまあ一方で外国人はめちゃくちゃ増えて、百うん十万人ぐらいになったとかで、これはあまり大騒ぎされてはなかったんですけど(笑)じわじわと来てる感じです。

芳永:今日、ちょうど来年の求人が解禁されて、文系27%、理系29%ぐらい初任給をあげても対応するって報道がありましたが、ますます日本人は激戦になりますよね。

中村:そうですね。大分厳しいと思います。ただ、いずれそういう世界になっていると思いますので、まあ異国とこう共闘したり競争したりして行くってことは必要になってくると思うんですよね。

芳永:日本単体でなんとかっていう時代じゃなくなってきてますよね。

中村:もう絶対無理だと思いますね。それにいかに早く気づいて手を打っていくかで会社の成長も変わっていくと思っていて、やっぱりなんとか日本人だけでっていうことにこだわり過ぎてしまって、結果としてたとえば飲食店とか店舗系のビジネスだとお店が出せないってことになったりとか、場合によっては人が集まらないから事業ができなくなって、会社閉じるなんていう事例もそんな珍しくない話とかになっていてですね。おそらく東南アジア系だと昔は「働かせてやってる」みたいな思考を持つ経営者が多かったと思うんですけども、そんな方、そんな企業はもう今や外国人からも選ばれない状況になった時に、考え方を変えていかにして双方がウィンウィンになれるような環境をどう作っていくかってことを指向して行かないと。特にそのサービス業系であったりとか、日本人がなかなか定着がしづらい領域においては、もうカウントダウンの段階なんじゃないかなっていうところがあります。

芳永:一時期なんか劣悪な収容環境に外国の人をかき集めてきて、本当に安く使ってってニュースがよくありましたね。

中村:その状況、多分、今もまだ全国的に見たらあるかもしれないですね。ただ昔よりかは売り手市場になってきていると思いますね。なので働く側の方がちょっと優位ってところはあるかもしれないです。

芳永:ですよね。今後展開としてお考えになられているところとしては、どんなイメージがありますか?

中村:いくつかのフェーズに分けて戦略を練っていますが、現状の今やってる領域でいちばん働き手がいなくて困っているっていうところにダイレクトに採用の機会を提供して行くというところで向こう2年くらいでその業界の一位をとるっていうのが直近のゴールではあります。だいたい対象となる競合って7000社ぐらいいるんですけども。その中でまじめにやってるのは10%未満っていう統計が出ていてですね。今、僕らもそのまじめにやってるところに入っているんですね。あと上位350社ほど抜けば一位になれるという、非常にイージーなゲームであったりはするんですけども。

 

たぶん、上位10社とか上位30社ぐらいになってくると一気に差がどんっと出てくるかもしれないですけど。まあ、そこをなんとかこう乗り越えていくために知恵絞ってやっていくっていうのが、まず最初のフェーズとしてあると。その後のフェーズとしては今ご案内してるところって基本サービス系であったりどちらかというとブルーの領域に近いような内容なんですけれども、当然ITのところも同じくこの国では人が足りてないことが加速してますので、その領域の海外の方々との共同ができるようなプラットフォームを構築するというのを並行してやっていく予定です。で、その両軸で事業のスケール拡大を持続しながら進めていくところが第三フェーズっていうような形で。

芳永:もう、そうするとここ一年は勝負の年ですね。

中村:そうですね。ただもう常に勝負なんですね。

芳永:でも、一つ会社をちゃんと立ち上げされていて、どうやったらこうなるっていうのは一度経験済みだから。そういう面では強いですよね。

中村:そうですね。なので、あとはいかにそのスピードを速めていくかっていうところで、まあそのためのお金をどう集めていくかってこともあったりはするんですけども、勝ち筋はある程度は見えてますし、マーケットは拡大していっていますので。

芳永:すばらしいなあ。

中村:まあ、この裏側にはもっと泥臭いですね、あの、本当に魑魅魍魎の世界があるんですけれども。今はこういった公の場ですのでいいことばっかり言ってます、話半分で(笑)。

芳永:(笑)いやそうですか。じゃあ、そんなあの勝ち組の中村社長から、同世代あるいは次世代に向けて、何か一言いただけますか?

中村:ありがとうございます。本当になにか伝えることがあるとすると、早く挑戦した方が良いっていうことかなと思っていて、僕は今35歳です。一応この自分の会社、100%オーナーとしてやらせてもらっているんですけども、もっと早くやっておけばよかったなあっていうのは思っていまして。年を重ねていけばいくほど失敗を恐れたりとか、周りからどう見られるかとか、そういうなんかつまらないことを意識してしまうようになっていって、どんどん進めなくなってくるとこあると思うんですけども、やっぱり若いうちが比較的失敗はしやすい状況はあるのかなって。まあ、なるべく早く挑戦することを推奨して行きたいと思っていますね。やり直ししやすい、早く失敗した方が絶対いいと思いますね。

芳永:いや、まったくですよ。だって若いうちだったらいくらでも挽回できるけどね。

中村:どうにかなりやすいですよね。再起出来る環境っていうのもある程度調ってきてるとは思いますし、比較的今って昔と比べて会社も作りやすいですし、ITの力を使えば設備投資がなくやっていくこともできること多くなってきてるんですね。だからこそ早くやったほうがいいんじゃないかなと。もちろんサラリーマンを否定しているわけではないんですけども。なんかこう野心溢れるものがあるようであれば、夏休みの宿題みたいにケツに持ってくるんじゃなくて、まずやろうと。

芳永:中村社長、どうもありがとうございます。ここからはもう待ちに待った高橋さん、どうぞ!

髙橋:(笑)はい。先ほどプラットフォームというお話もあったんですが、中村社長プレスリリースされてるということで、この辺りも少しお話を聞かせていただけますか?

中村:ありがとうございます。昨年申請させていただいて今年の1月に許可がおりたんですけど、経営革新計画の認定という東京都からお墨付きをいただきまして、それが先ほどお伝えした第二フェーズで展開予定のあのIT系に特化したプラットフォーム構築のところです。これは海外にいらっしゃる方が中心になってくるんですけれども、いろんなIT系のスキルを持ってる方が登録できるDBを構築して、日本企業側であの人が欲しいってなって時にマッチングを推奨するっていうものなんですね。ただ、いきなりその外国人雇用ってのはちょっとハードルが高いっていう企業も結構多かったりしますので、また海外の方も日本に住んでいるわけじゃないので、そういう場合だと日本の労働基準法は関係ないんですね。いったん業務委託みたいな形で外注として使っていただきながら、双方必要であればそのまま入ることができるという紹介予定派遣みたいな形が実現できるプラットホームです。そこで都の支援をいただけるということになったということです。

中村:えっと、確かにアメリカとかオーストラリアとか欧米圏に行けば絶対(年俸は)高いんですけども、ハードルもめちゃくちゃ高いんですよね。本当金持ちで高学歴じゃないと基本的には難しいと。で、日本ってそういう意味で言うと、ビザがめちゃくちゃ取りやすいですよ。

しかし、技能実習って枠組みであったりとか、特定技能という枠組みも常に大卒とかじゃなくてもビザが取れたりするんですよね。なので、幅広くいろんな層が来やすいのが一つと、あともう一つは、まあいかに日本が安いとは言え、行きやすいプラス母国で働くよりか圧倒的にコスパがいいっていうことがあったりはするんですね。まあベストな選択肢ではないと思いますが、選べる選択肢の中ではベターなんじゃないかなと思っていると思います。

中村:問題ですか。めちゃくちゃありますね。たとえばライトなところですと、問題というか本当に喜ばしいことっていうのを前提でお話させてもらうんですけど、あの妊娠されたパターンとか。こういう場合にはやはり帰ってしまうことが多いので、まあ会社としてはちょっと困った事になるみたいな事になるんですが。騒音問題とかですね。やっぱりバンバン酒飲みながら宴会するんですよ。で、近隣住民からクレームがバンバンきたりとかっていうのもあったりします。なんか本当にそういうちょっと文化の違いってところで、起きうる問題は結構あったりするのかなとは思いますね。まあ、本当に陽気な方々が多いんですね。日本人みたいにおとなしくしてると、たぶん彼らは母国で生きて行くことができない、そういう環境だと思うんですね。いかにしてはいはいはいと手を上げていくか。そこが重要ですしそういう人が多い。自己主張ちゃんとするっていう人が多いのかなと思います。

芳永:中村さん、ご出身は確か関西ですもんね。

中村:はい。そうですね。僕、兵庫県神戸市っていうところです。

芳永:やっぱりいいっすよね、ノリがね。

中村:ありがとうございます、ありがとうございます、今シラフです(笑)。

髙橋:(笑)。そんな中村社長が尊敬しているる方がいらっしゃったらちょっと教えていただければと思います。

中村:僕は企業経営者全般的にまずリスペクトをさせてもらってます。やはり自分でこう何かをやっていくっていうことをやってる方々っていうのは、すごいバイタリティーを持っていたりとか、パッションを持っている方がほとんどだと思うので、まあその時点ですごいなあっていうふうにまず思います。で、それ以外で強いて言うならば新卒で入った会社の同期で、沖縄で介護施設をやっている株式会社ベストライフ西川社長って方がおりまして、あんまり知名度はないんですけど、現状沖縄においては介護施設の数でいうと1位になっている方なんですよね。公私とも仲良くさせてもらってるんですけども、常にその考え方であったりとか、会社においてのマネジメントや戦略であったりとか、そういったところで、もう一歩二歩三歩と先に行っていて、常に背中を見ていつか追い越せないものかと、追いつけ追い越せという姿勢で モチベーションになってくれるような存在です。もっと早く切磋琢磨できるようにという意味で尊敬しています。

髙橋:ありがとうございます。中村社長のそのジンザイベースに登録したい外国人の方だとか、あと企業の方で繋がりたいっていう方もいらっしゃると思いますので、その辺りもう少しあの詳しくですね。最後、告知していただければと思うんですが。

中村:ありがとうございます。食料品製造、いわゆる食品を作る工場、飲食業、介護施設などで働き手がいなくて困っている、悩んでいらっしゃる方、ぜひお声掛けいただけれフェイスブック上でもあの会社の問い合わせページでも何でもあの直接ご連絡いただければご対応させていただきますので。

髙橋:それでは最後に将来の夢とか長期的ビジョンを教えてください。

中村:はい。会社の目的として、よくある言葉ではあるんですが、ダイバーシティ・アンド・インクルージョンということを謳わせていただいていて、これがぼくらの会社のパーパスなんですよね。それを構築をしていくためには、僕らのミッションとして働く人にその機会を提供して行くことと、スキルアップをしていくことで、それが連鎖して行けば最終的に会社のビジョンであるデジタル・トランスフォーメーションのDXではなく、ダイバーシティ・トランスフォーメーションっていう社会全体のダイバーシティ化を推進していくことが目指してるところですね。

髙橋:今日は本当に貴重なお話をありがとうございました。本日のゲストは、株式会社ジンザイベース代表取締役CEOでいらっしゃいます中村大介様でございました。どうもありがとうございました。

2023年3月1日収録

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