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人とのご縁と経営者として日々思うこと

髙橋明美(以下髙橋):本日のパネラーは株式会社ゲンキの平和堂代表取締役でいらっしゃいます藤本侑也様、そして経営者育成研究会代表でNCU合同会社CEOの芳永尚でございます。テーマは「人とのご縁と経営者として日々思うこと」ということでお話をうかがってまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

はじめにお二人の出会いを教えていただけますか?

芳永尚(以下芳永):これはいつもの如く面の皮厚くfacebookで、藤本社長が喜んでくれそうな文面を推敲に推敲を重ねた末に「よろしくお願いいたします」とだけ書いてお友達申請しまして(笑)、それで面談させていただいたんです。それが四か月くらい前でしょうか。そこからはもう一度会ったら友達という体の馴れ馴れしさで今日を迎えております。よろしくお願いいたします。

髙橋:藤本社長はそんな熱いラブコールを受け取った印象はどんなだったのでしょう?

髙橋:起業された経緯はなんだったのでしょう?

藤本侑也(以下藤本):はい(笑)。基本私は外国の方と女性の方がメッセンジャーやfacebookで来られるのはすべて拒否しているのですが、なんらか文言が書いてある申請が来た場合は許可させていただいております。

髙橋:そうなんですね(笑)。それがようやく実を結び、今日を迎えられたということですね。藤本社長はお父様が電気屋さんだったということですが……。

藤本:はい。社名のゲンキの「ゲ」の部分はもともと「デ」で、デンキの平和堂だったんです。

そして平和堂って名前がどこからきているかといいますと、滋賀県に平和堂というスーパーがあるんですね、某大手スーパーと似たロゴの。そこはもともと下駄屋だったんです。間口二間の下駄屋で、私の父は滋賀県の彦根の出身なんですが、その下駄屋があれよあれよという間に大きくなって世界に羽ばたく平和堂になったんですね。それに因んで勝手に平和堂という名前を拝借して、電気(デンキ)の平和堂と名乗ったんです。

髙橋:(笑)なるほど、験担ぎだったんですね。

藤本:そうなんです。その電気屋には店舗がありますがその裏が自宅で、私はそこで育ったんです。子どもの頃はラジコンカーなどを買ってくれるわけです。その頃のラジコンは今のような充電式ではない電池を使っていたんですが、それですと15分から20分も続けて走らせていると使えなくなるんですね。電気屋のお店では電池を売っていますので「おとうさん、その電池ちょうだいよ」と言うと「アホか!」と一喝され、「電池は貰えるものじゃない。働いて買うものなんだ。働いてから買え」と5歳児に言うわけです。

いったいどう働けばいんだろうと。すると、お客様のところにアンテナの取り付けやエアコンの取り付けに行きますよね。そのお手伝いをしろと。ダンボールを片付けたり、あれやらこれやらを片付けろと言われ、それが終わると電池をくれるわけです。

髙橋:幼少の頃から働いて手に入れるということを実践したわけですね。芳永さん、いかがですか、今のお話?

 

芳永:我が家は大財閥だったのでホントにもう常になんでもあったんです、というのは嘘で。私は小学生の頃、新聞配達をして自転車を買ったというのが最初に働いた経験です。

髙橋:それはすばらしいですね!

藤本:すばらしいです。やっぱり時代背景が見えますよね。ちょっと私とは世代が違う気もしますが(笑)。

髙橋:お父様の跡を継ごうと考えていらっしゃったんですか?

藤本:いえ。やはり父親の背中を見ていて苦労といいますか、何に苦労しているのかはわかりませんが「いやだなー」とは思っていましたね。なのでなるんだったら副社長がいいと言ってましたね。なんだかわかんないながらも社長は大変だなーと感じていたんだと思います。

髙橋:そんな藤本社長、今は代表取締役としてご活躍されているわけですが、ゲンキの平和堂さん、一般的なリサイクルショップとは違って特化した専門店があると伺っていますが。

藤本:はい。カテゴリーを特化していくというのは非常に重要なことだと昔から感じていて、とはいえ私の性格上、なんでもやりたがりなんです。お客様から言われたことを断るってのが非常に辛い、というかイヤなんですね。なのでひと通りどんなカテゴリーでも弊社で対応できるんですが、たとえば「おもちゃ」とか「お酒」とか「電動工具・電材」とかそういったカテゴリー特化型でやっています。

髙橋:カテゴリーが明記されていればお客様は持って行きやすいですよね。おもちゃの話が出てきたので伺いますが、おもちゃ専門店の坪数がかなり広くて驚いたんですが。

藤本:そうですね。おもちゃだけで250坪の店舗を展開しています。

髙橋:250坪のスペースがおもちゃで占められていると想像すると壮観ですよね。ちなみにお酒のリサイクルもあるということだったんですが、ちょっとイメージができないのですが、そんなにニーズがあるものなんですか?

藤本:そうですね。まあリサイクルというよりリユースです。不要なお客様から買い取らせていただいて必要なお客様に販売させていただくという流れなんですが、日本酒は時間が経つと酢になっちゃうと言われていますように長期間置いておくことは難しいのですが、ウイスキーなどは長期で置いても傷むことはありませんのでそういうものを扱っています。業者の方が箱ごと持ち込まれることがありますので、箱ごと買い取らせていただく、というようなことも行なっております。

髙橋:ちなみに何かこれはというオススメのものはありますか?

藤本:やはりジャパニーズウイスキーは非常に高価ですね。そういうこともあって業者の方がせっせとそういった商品を運んできてくれるということでしょうか。

髙橋:ゲンキの平和堂としてのいちばんの強み、というのはどういう点でしょう?

藤本:弊社の強みは先に述べましたようにカテゴリーに特化して大量に買取ができる点、「大量に」というのが弊社の強みですね。店舗においては駐車場に10トン車が乗り付けられるようにしており、10トン車が1台、2台というような形で買い取らせていただいておりますので、なかなか普通のリサイクルショップではできない量をいっぺんに買い取りするというのが他社との差別化だと考えますし、接客力といいますか人間性といいますか、私はそういうことを非常に大事にしていますので従業員にもそういう心構えで接客をしてほしいとお伝えしています。

髙橋:ありがとうございます。次にお伺いしたいのは「経営者として日々思うこと」。こちらをお聞かせいただけますか?

藤本:現在、同業のエコリングさんと協業させていただいているのですが、数日前、弊社に(エコリングさんの)ダンボールが大量に積んでありましたけど(笑)。このように同業の方といっしょにビジネスをやっていこうと、お互いに得手不得手な領域がありますので、その辺を補完しながらやっていきたいと思っています。当然のことながら同業だけではなく、まったく違うビジネスの方とも協業はできるのかなと思っています。いろいろなビジネスの方と繋がっていく横展開してくこと、中小企業が生き残るというか勝ち残るうえでは大切なことかなと強く思っているところです。

髙橋:同業者はライバルでもあるので蹴落とし合いとかありそうな感じなんですが手を取り合ってうまく競合していくというのはすばらしい考え方ですよね、芳永さん。

芳永:そうですね。藤本社長、最初は副社長がいいとおっしゃっていましたが、もう長いこと経営者としてがんばって来られておそらくいろいろなことがあったろうと思うのですけど、そんななかで思うことってなにかありますか?

藤本:そうですね。人生なんていいことばかりじゃありませんので、いろいろなところを通ってきたのも事実ですね。リサイクルの前はデンキの平和堂でしたが、私は2004年まで約6年ほどアメリカに住んでいたんですが、戻ってきてからこのリサイクルを始めたんですね。頭でっかちというか知識だけはたくさんあったので突然始めたのですが当初はうまくいかず、すぐにお金は底をついてというような感じで、当時は会社を倒産させるのが流行っていて弁護士も紙一枚でお金がたくさんもらえたので危うく会社を潰されそうになったんですが、本当に私夜逃げをしたんですよ。リサイクルショップで買った2トントラックの隣に両親を乗せて。あれって本当に夜中に逃げるんです(笑)。そこから戻ってきたということです。

髙橋:今、笑顔でお話いただいていますがわりと壮絶な内容です! 今でこそ話せるが、という感じですね。

芳永:私はそこまでの経験はありませんが、経営者のみなさんは大なり小なりそういった経験はされておられると思います。

髙橋:次にゲンキの平和堂の従業員の年齢がとても若く感じたのですが、そこは藤本社長、若い力を取り入れようという意識している結果なのでしょうか?

藤本:どの企業もそうだと思いますが、若い人たちが世のなかを変えていくんだという意識を強く持っていると思います。ですから、毎年新卒採用には力を入れていますし、その一方で中途採用も並行して行ない、なかでも活躍できる方を採用させていただいています。パートさん、アルバイトさんのなかにも非常に能力の高い方々もおられますので同様です。若い人にはわからないことは聞いて、成長していってほしいと考えています。

髙橋:楽しみながらお仕事をしようという意識の持ち方でということなんでしょうか?

藤本:まあ、仕事に限らずすべからくそうでしょうね。人生楽しまないといけないですし、まあ当然のことながら、大なり小なり苦難というのは付きものだと思っているので、大変だなー、しんどいなーというのはいつもあります。「なんでこんなこと俺に起きるんだ?」と。悪いことって往々にして重なりますよね。なんで俺にという反面、人生が俺にチャレンジしてきているなと、そういうふうに言葉を置き換えて対応してきている状況ですね。言ってみれば自己成長のチャンスじゃないですか。この苦難を乗り越えるにはどんなことを考えなくちゃいけないかとか、もうこれ以上後ろに下がることはできないなとか。では、前に出るためには何を考えなければいけないのかと。そういうふうにいつも言葉をリフレーミングしてやっている感じでしょうか。

髙橋:同業他社との繋がりとか、異業種との繋がりといったお話をお聞かせいただきましたが、藤本社長が人とのご縁とか経営者同士の繋がりのなかで意識して気をつけていることなどはありますか?

藤本:やはり人と接するときの態度ですね。それはすごく意識しています。

 

髙橋:芳永さんも多くの方とお会いしていますがいかがですか?

 

芳永:私はなんとなくですかね。私は時間って有限だなぁと思うんですよ。せっかくお会いできたのですから楽しい時間を、大切なご縁を温めて広げていきたいなと思いますね。藤本さんは会社経営以外でも公職といいますか、ほかのお仕事もされていらっしゃるんですよね?

藤本:はい。マーケティングのプログラムを学んでいる団体のなかで役職をいただいて、そのなかでもリーダーシップを取れるチームを育てる、そんな形でお手伝いさせていただいています。

髙橋:人材育成にも貢献されておられるわけですが、今後の藤本社長の展望といいますか考えておられることをお聞かせいただけますか?

藤本:そうですね。うちはそんな大きな規模の会社ではないのですが、毎日のように銀行さんやコンサルさんから「FC展開しないんですか?」と言っていただけるんですが、実はまったくそんなことは考えていなくてですね。どちらかというと自分の身の丈に合ったような状況で、「なんか偉そうにしてる」とか言われちゃいうんですけど、心のなかを言葉にすると偉ぶることなく、ちゃんと確実に着実にやっていくことを目指しています。ということと、私たちの業界って展開がすごく早いんですね。そのなかで何が本当に売れるものなのか、買取ができるものなのかということはけっこうシビアに見ているのも事実なので、そういう商材を探しているというのもひとつあります。まあ、このリユース業という業界は非常におもしろい業界なので常にキープしていたいとは思いますが、強みとしていきたいのはB(企業様)相手の買取で、ここはもう7年近くやってきていることろなのでさらに強化していきたいと考えています。

髙橋:ありがとうございます。最後に次世代のみなさんにアドバイスをいただけるとしたら、いかがでしょう?

藤本:そうですね。先ほどお話にありましたが楽しまないとアホだなーと思います。どんなことでもそうですが、仕事になると途端にしんどいな、辛いなーってスイッチが入るのってかわいそうだなと思うんです。あーだこーだと言い訳はせずにまずは行動量を増やせと。ストレートな物言いをご容赦いただきますと、今の若い人たちって頭でっかちなんですよ。理屈は立派なんですが実際何もやっていないんですね。やらない理由を並べるのはもういいから、とにかくやれと。失敗を恐れるから行動しないだけなので、恐れず行動しろ失敗してもいいからと。「実験しろ」とい言っています。あとはゲーム感覚で楽しめと言います。ゲームは成功より失敗するほうが多いんだからと。とにかく一歩踏み出すような言葉を投げかけるようにしています。繰り返しになりますが、若い子にはゲーム感覚で楽しんでたくさん実験してたくさん失敗しなさいと。反面、「おい藤本、お前がブレーキかけていないか?」と自分に確認しながらやっているというところでしょうか。

髙橋:藤本社長のこれからのますますのご活躍をお祈りしております。本日はすばらしいお話ありがとうございました。

藤本:ありがとうございました。

2022年3月17日収録

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