top of page

お客様と共に成長し続ける企業づくり

2024.8.29岡本様.png

進行:福田美耶(以下、福田):第113回経営者対談を始めます。本日は株式会社エイトレッド代表取締役社長、岡本康広様をお迎えし、『お客様と共に成長し続ける企業づくり』をテーマにお送りします。

 

岡本様は1971年、島根県生まれ。システムエンジニアとしてキャリアを始め、その後営業に転身。1994年にソフトクリエイトに入社し、二度の離職を経て、富士ソフトやDMM.comで多くの経験を積まれました。2017年にソフトクリエイトグループに再入社し、2018年に子会社エートゥジェイ副社長、2019年に上場子会社エイトレッドの社長に就任されました。

 

本日アシスタントを務めます、株式会社MISION(ミシオン)の福田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 

芳永尚(以下、芳永):岡本社長、本日はありがとうございます。先ほどご経歴をご紹介しましたが、現在に至るまでの経緯をもう少し詳しくお聞かせいただけますか?

 

岡本康広(以下、岡本):ありがとうございます。私は今年で53歳になります。息子が3歳で、現在子育てに奮闘中です。また、ゴルフが趣味ですが、ウォーキングも好きでして、訪問先に早めに到着するとその周囲の小道を歩いて探検することが良くあります。そして島根県出身として、『遣島使(けんとうし)』というふるさと親善大使を務め、島根県のPR活動を行っています。

ご紹介いただいた経歴についてですが、ソフトクリエイトグループに入社し、二度退社した理由はその時々にやりたいこと、実現したいことができたからですが、創業会長から都度よきタイミングで「戻ってこないか」と熱心にお声がけいただき、二回出戻りしました。その後、ソフトクリエイトグループでワークフロー事業を展開しているエイトレッドの社長に2019年就任しました。今、6年目を迎えています。

 

芳永:会長との信頼関係が深かったということですね。

 

岡本:最初にソフトクリエイトに入ったときは、私はまだ「ひよっこ」の営業マンでしたが、もともとの根性に加え、真摯に周りから学び、運にも恵まれて良質なお客様を開拓。営業でナンバーワンになり、その後、MVPを何年も受賞しました。スキルというよりは一所懸命さとお客様に対する姿勢が受け入れられたのだと思います。その実績を会長は評価してくれたと思います。

 

芳永:現在の御社の事業についてお聞かせいただけますか?

 

岡本:エイトレッドは2007年に設立され、今年で17年目を迎えた、ワークフローというシステムを開発・提供している会社です。現在社員数は約70名で、ワークフローシステムだけで株式上場しています。昨年度の売上高は約25億円、利益率は40%超と高く、効率的な経営を実現しています。

「エイトレッド(ATLED)」という社名の由来は、三角形(デルタ・DELTA)の逆さ読みから来ており、ピラミッド型組織の限界を突破する想いが込められています。

 

ワークフローの「ワーク」は仕事、「フロー」は仕事の流れを意味し、弊社では「ワーク」は社内申請(稟議書、休暇申請、経費精算など)と定義しており、これらを電子化して効率化を図るシステムです。これにより、従来の紙ベースやハンコ文化を排除し、業務の効率化が進んでいます。特にコロナ禍の際には、ハンコを押すだけのために出社するのかという議論もありましたね。

 

当社は大企業向けと中小企業向けのワークフローシステムを提供しており、企業規模は数十名から数万名規模まで対応しています。現在、4,500社以上のお客様に利用されており、販売パートナー企業(リコージャパン様、富士フイルムビジネスイノベーションジャパン様など)を通じて提供しています。

 

芳永:利益率40%は素晴らしいですね。

 

岡本:利益率は徐々に上がってきました。余剰人員や無駄を省き、経営効率化に努めています。販売パートナー様との連携も重要で、パートナー様にも儲けていただける、双方に利益をもたらすビジネスモデルを構築しています。

 

芳永:リコー様と富士フイルム様だけでも全国の事業者の3分の2くらいは持っているのではないでしょうか。

 

岡本:顧客接点の数はそうかもしれませんが、お客様の企業規模や得意分野などには違いもあります。リコージャパン様、富士フイルムビジネスイノベーションジャパン様に加え、SCSK様、日立システムズ様、日鉄ソリューションズ様、ダイワボウ情報システム様(DIS)などとも長年の付き合いがあります。特にDIS様は全国約2万社の販売店を有しており、多くの顧客接点をとれることが当社の強みです。

 

芳永:素晴らしいですね。では、起業を考えている若い方々に一言お願いします。

 

岡本:私はまだ経営者として6年目のひよっこですが、大事だと思うのは「派手なことをしない」「無駄をしない」ということです。スタートアップ企業では資金調達すると、オフィスを華やかにしたり、過剰な広告を打ったりすることがありますが、そうした姿勢が波及すると無駄が生まれます。堅実に、無駄を排除することが成功につながると考えています。

 

芳永:私たちも肝に銘じます。ありがとうございました。

 

福田:無駄をしない、派手なことをしないというお話ですが、組織作りで大切にしていることは何ですか?

 

岡本:私の信条は「すぐやる」ことです。メールやチャットは即レスを心がけています。寝ているときは無理ですが、休日の旅行中などでもスマホでメッセージを見たらなるべく即レスするようにしています。相手の立場を考えると、早めに反応することが重要だと思います。

 

また、変化を大切にしています。変わらない、自分の領域から出ずにセーフティーゾーンにいると安心しますが、私はあえて変化を楽しむためにそのゾーンから出ます。変化から学べること、得られるものはたくさんありますし、それによって自分のゾーンがどんどん広がります。

 

さらに、「強みは弱み、弱みは強み」と考えています。たとえば、当社の「販売ネットワーク」は強みでありながら、逆に直販がしづらくなるという弱みでもあります。しかし、その弱みを強みに転換する努力をしています。即レス、変化と併せてこの3つを大切にしています。

 

芳永:即レス、素晴らしいですね。

 

岡本:せっかちなので、即レスが性に合っています。相手がいる以上、自分のペースだけで動くのはよくないと思います。

 

福田:岡本様がトップセールスを続けてこられた理由がよく伝わってきます。

 

岡本:営業スキルがあったわけではありませんが、相手目線でお客様のニーズを捉えることができたからこそ、結果につながったと思っています。特別なトーク力は不要です。

 

福田:その姿勢が、利益率に結びついているのでしょうね。次に、御社のビジョンについてお聞かせください。

 

岡本:今年4月にミッションとビジョン、バリューを刷新し、『ワークフローのチカラを全ての企業へ』というビジョンを掲げています。市場シェアや売上も大事ですが、まずはマーケットリーダーになることを考えています。お客様や販売パートナーに選ばれる会社や製品。競合会社が「相手がエイトレッドなら仕方ないな」と諦めるような状況にすることです。マーケットリーダーになることで、優秀な人材や仲間が集まると信じています。

 

また、エイトレッドはワークフローの一本足で17年間活動してきましたが、今後は中期視点として複数の事業を展開したいと考えています。自社開発もしくはM&Aやアライアンスを通じて、次のステップに進むつもりです。

 

福田:マーケットリーダーの定義は、相手がいるからこその行動という点に共感しました。

 

岡本:良い製品を作るだけではなく、選ばれる製品にするためには、お客様の声を反映することが大切です。お客様のニーズに応えることで、自然と売上やシェアが増えていきます。

ワークフローは解約率が極めて低く、利用継続率は現在99.8%を超えています。この結果は、製品の特性とカスタマーサクセスの重要性に起因しています。

 

芳永:継続率が99.8%とは驚異的ですね。素晴らしい実績です。ところで、昨今のAI技術に関しては、何かお考えはありますか?

 

岡本:はい、ワークフローにAIを活かした機能・サービスを実装しようと検討を進めています。現在はまだ試行錯誤の段階ですが、特に「人が行う承認」に基づくワークフローなので、AIがどのように判断や決定をサポートできるかに焦点を当てて進めています。AIを使って、さらに効率化を図りつつ、意思決定のサポートに役立てたいと考えています。

 

芳永:なるほど、AIが承認プロセスをサポートする形ですか。非常に興味深いですね。

 

福田:岡本社長、本日は貴重なお話をありがとうございました。

 

岡本:こちらこそ、どうもありがとうございました。

2024年8月29日収録

bottom of page