人を見る目を養うには
- ncu807
- 11月2日
- 読了時間: 3分
「この人と付き合うべきか、距離を置くべきか——」
経営をしていると、日々そんな判断の連続である。
仕事であれ、プライベートであれ、誰と時間を共にするかは、自分の人生の質を決定づける重大な選択だ。とりわけ経営者は、交わる人の影響をもろに受ける。感情、判断、価値観。知らず知らずに周囲に左右されると言っても過言ではない。
私は一つの指標を持つようにしている。
それが「明元素(めいげんそ)」である。
「明元素」という言葉は、明るさ、元気さ、素直さという三つの要素を意味する。これらは、人に好かれ、人望を集める人が共通して備えている性質だ。
付き合うなら、こういう人がいい。
言葉に力があり、笑顔に活気がある。そして何より、素直で偏見がない。自分を飾らず、相手の言葉に耳を傾け、何事にも前向きな姿勢で向き合う。そういう人は、いるだけで場の空気を明るくする。こちらの心も自然と整い、前へ進む力をもらえる。
逆に、暗く、覇気がなく、ひねくれた人と過ごす時間は、自分の「運気」を確実に削っていく。そういう人の言葉には棘があり、笑顔には温度がない。会話の端々から、被害者意識や嫉妬がにじみ出る。気がつけば、自分も防御的になり、心がすり減っていくのだ。
「誰といるか」で人の雰囲気は決まるといっても過言ではない。それは経営者であっても、いや、だからこそ例外ではない。
とはいえ、この世には一見「明元素」のように見せかける、ずる賢い人間も存在する。愛想がよく、話もうまく、礼儀正しく振る舞う——だが、どこか嘘くさい。
そういう人物は、表面上では見抜くのは難しい。人当たりも柔らかく、「いい人」にしか見える。だが時間が経つにつれ、ふとした瞬間に本性が顔を出す。
では、どう見極めるか。
私は、その人本人ではなく「周囲の人間関係」を見るようにしている。
人は自分の仮面をうまく取り繕うことができても、付き合っている人まではごまかせない。
どんな人と仲が良いか。どんな人に囲まれているか。
そこには、その人の「本質」が如実に表れる。信頼できる人物は、信頼できる人に囲まれている。不思議と、人望のある人の周囲には、やはり「明元素」の気配をまとった人が集まるのだ。
逆もまた然り。口では立派なことを言っていても、近くにいるのが愚痴ばかりの人、不満だらけの人、攻撃的な人間ばかりであれば、その人自身もまた、そういう要素を持っているということだ。
会社を経営していると、日々様々な人が近づいてくる。取引先、社員、パートナー候補、時には利害を隠した“協力者”も現れる。
そのすべてと深く関わるわけにはいかない。
だからこそ、日頃から「誰と時間を共にするか」を意識し、「明元素」という軸で自分自身の感覚を研ぎ澄ませておくことが重要になる。
経営とは、選択の連続である。そして、最も重要な選択の一つが「人との関係性」だ。
人は変わる。だからこそ、今の自分にふさわしい人と交わること。
あなたの周囲には、どんな要素を持った人がいるだろうか。
振り返れば、それは自身の在り方を映す鏡かもしれない——。




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