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  • 執筆者の写真ncu807

頑固

頑固おやじに会った。

3年ぶりだ。

頑固おやじとは 私が30の時に 出会った上司のことだ。

そう考えると もう28年の付き合いになる。

初めは怒ってばかりいて 口が悪く嫌いだったが 一緒にお客様へ 同行してもらってから 考えが変わった。

言葉の奥に温かさがある。 表現が直球で ストレートに 腹へ食い込んでくるだけの話だ。

付き合ってみると スルメの様な人で 噛めば噛むほど味が出る。

久しぶりに会って 思った。

変わらずいい男だ。

旨いことは云わない。 でも付いて行きたくなる人だ。

頑固おやじは 北海道の北 離島の出身だ。

若い頃に東京へ行き 工場で働いたらしい。

もともと無口で 人と話すのが苦手。 それを何とかしたくて 札幌に戻り 飛び込んだのが リコーだった。

喋れないのに営業。

頑固おやじは言った。

「話す勉強が出来て

 給料が貰える。

 上司や先輩には怒られたが

 楽しかった。」

そんな訳はない。

そこで並々ならぬ努力をして 事業部長まで登りつめた人だ。

自分の苦労話は言わない。

長身で厳つい顔 木訥とした風貌も変わらない。

しかし 70半ば 言っちゃ悪いが やっぱり爺になった。

怒鳴りまくっていた 若い頃を知っているから そう思うのかも知れない。

爺にしては テニスにゴルフ。 ドライブに旅行とアクティブだ。

同年代から見れば若い。

3年ぶりに会い

蕎麦をすすり

珈琲を飲んで別れた。

以前書いた。 ブログを読みたいと云われた。

送った後の返信がこれだ。

「今日はありがとう嬉しかった。

 昔のこと思いだしながら

 読んで懐かしく

 楽しかったこと

 辛かったこと

 振り返えれば

 たいしたことのない男だった。

 能力のない分皆に罵声を浴びてさ!

 反省しています。

 機会があったら

 又皆に会いたいね。」

頑固おやじがこんなことを言う。 歳は取りたくないものだ。

私はすぐ返信した。

「私はいつも

 感謝しております。

 これからも宜しく

 お願いいたします。」

そうだ

忘れていた。

次に会ったら

必ず言わないといけない。

「頑固爺!」と。


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