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ありがとうから始まる一日

  • 執筆者の写真: ncu807
    ncu807
  • 8月16日
  • 読了時間: 2分

卵子の寿命は、わずか二十四時間。

精子は三〜五日生きる。

つまり、出会えるチャンスは月にほんの五日しかない。


しかも三億あった精子のうち、九十九パーセントは卵子に辿り着く前に死滅する。

卵子の前に立てるのは、数百。

その中の、たったひとつが殻を突き破り、私やあなたになった。


もし隣の精子が先にたどり着いていたら、私はいない。

あなたもいない。

そう思うと、有り難い話である。


私たちは“有り難い”、すなわち稀有で希少な存在である。

それなのに、いつの間にか錯覚してしまう。


飯が食えて当たり前。

家があって当たり前。

親がいて当たり前。

水が飲めて当たり前。

文句を言って当たり前。


今ある存在の有り難さを、私たちはすぐに忘れてしまう。


たとえ今、どんなに辛くても、どんなに不満があっても——

まずは「ありがとう」と感謝してみよう。


これは、ただ耐えろという意味ではない。

抗うべき理由と相手が明確ならば、立ち向かうべきだ。

相手がどれほど強敵でも、戦うべき時には立ち上がったほうがいい。


宇宙から見れば、ひとりは八十億分の一。

何も変わらないかもしれない。

だが、過去と他人は変えられなくても、自分と未来は変えられる。


その鍵は、「ありがとう」だと思う。


妻に、夫に、子どもに、親に、友人に。

声に出して伝えてほしい。


生きていることが有り難いのなら、

明日、この世にいないことだってある。


感謝を伝えずに別れれば、きっとお互いが後悔する。


二十八年前、息子の棺に「ありがとう」と言った。

骨になる前に、彼にかけた最後の言葉だった。

あれからずっと、その「ありがとう」の意味を探している。


心理学者ウィリアム・ジェイムズは言った。


> 心が変われば行動が変わる

行動が変われば習慣が変わる

習慣が変われば人格が変わる

人格が変われば運命が変わる


心を変えるには、まず「ありがとう」からだ。


一日は二十四時間しかない。

出来ることなら、今すぐ始めよう。



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