この舞いに命への感謝を
- ncu807
- 10月14日
- 読了時間: 2分
雪虫をご存知だろうか?
北海道では、晩秋から初冬にかけて、まるで雪が舞い始めたかのように、白い小さな虫が空を漂う。
雪虫はアブラムシの一種で、身体に白い綿毛状の蝋のような分泌物をまとい、冷たい風にそっと乗って飛ぶ姿は、儚くも美しい。
その寿命はわずか一週間ほど。
だからこそ、雪虫の舞いは、冬の訪れを告げる風物詩とされてきた。
雪虫の短い命を思うとき、自分の時間のかけがえなさを実感する。
だがそれと同時に、日々の当たり前に感謝せずにはいられない現実も、胸に迫ってくる。
日本の平均寿命は今、世界のトップである。
それを享受できる環境に生まれたということ自体が、奇跡に近い恵みである。
一方で、紛争や飢餓に苦しむ地域では、二十歳にも満たぬ若さで生を終える人々がいる。
彼らの人生を、肌で知ることはできない。
だが、その現実を思い浮かべずにいることも、また人として無関心に等しい。
蛇口をひねれば、いつでも飲める水が出る。
小銭さえあれば、夜中でもコンビニでおにぎりを買える。
これほど当たり前のことが、実はどれほど尊いか——
私は、そんな日常の幸せに目を向けたい。
誰かの苦しみを完全に理解できる者は、この世にいない。
だが、それを理由に無関心であっていいわけではない。
出来ることなら、出来ることをしたい。
それは、大した行動ではないかもしれない。
だが、小さな言葉や行為が、ひとりの心に届くことを信じたい。
「今ここ」にある幸せを、深く感謝し、雪虫のように短い時間を生きる命の象徴を胸に抱きながら、拙いが私が得た知見、経験、思いを、惜しみなく伝えていきたい。
誰かの一歩を支えられるのなら、それでいい。
風が冷たくなり、雪虫が舞い始めるとき、私は小さな決意を固め、また歩き出したい。




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