すべてを失ってもまた始めればいいだけ
- ncu807
- 9月10日
- 読了時間: 3分
57歳で会社を辞め、独立を決めた。
決して若いとは言えない年齢での挑戦だったが、不思議と迷いはなかった。
これまでのつながりを武器に、札幌の経営者を訪ね歩き、「これから!」という思いを胸に動き始めた。
しかし、状況はあまりにも唐突に変わった。
ほどなくして、コロナによる緊急事態宣言。
街から人が消え、予定していた営業先も次々に閉ざされていった。
地図の上に描いていた未来が、一瞬で白紙に戻されたようだった。
道が消えたときに、どう動くか
還暦の足音が聞こえる年齢で、会社員という安定を手放しての起業。頼れるものは自分自身だけ。
その自分の前から「道」が消えていく。
正直に言えば、心の中で何度も呟いた。
「これは無謀だったのではないか」と。
だが、そこで立ち止まってしまえば本当に終わってしまう。
私にできることは、動きを止めないことだった。
リアルがダメなら、オンラインへ
会うことができないなら、オンラインで繋がるしかない。
ZOOMでの商談、SNSを通じた発信、メールやメッセージでの丁寧なやりとり。
「直接会う」ことにこだわっていた自分の営業スタイルを、根本から見直すことになった。
既存が閉ざされるなら、新規を探す
従来のつながりだけでは限界がある。
それなら、自ら探しに行くしかない。
異業種交流会のオンライン版や、専門コミュニティへの参加。
顧客候補を“ゼロから”見つけることに集中した。
大切なのは「どこ」ではなく「誰」
どこを探せば顧客が見つかるのか。
その問いに、単純な答えはなかった。
「どこに顧客がいるか」よりも大切なのは、「誰と繋がるか」を探ることだった。
業界ニュース、SNS上の声、知人との雑談。
何気ない場面にこそヒントが潜んでいた。
ツールは多くなくていい
無数のオンラインツールがある中で、万能な正解は存在しない。
私が心がけたのは「使いこなせるシンプルさ」である。
ZOOMとメッセンジャー。時にはLINE。
あえて絞り込みを徹底し、使いやすさを優先した。
短期と長期を同時並行で
日々の営業活動で売上を確保すること。
同時に、半年先・一年先を見据えて信頼関係を育むこと。
この二つを両輪として走らせることを意識した。
短期の焦りに飲み込まれると、長期の芽を摘んでしまう。
だからこそ、両方を同じ熱量で取り組むことが欠かせなかった。
環境はいつでも変わる
あのとき痛感したのは、環境はいつでも変わるということだ。
リアルが遮断されても、つながる道はある。
既存の顧客が途絶えても、新しい出会いは必ず生まれる。
57歳での起業が「遅すぎる挑戦」かどうかを決めるのは、状況ではない。
自分の姿勢である。
むしろ試練の中でこそ、自分の本気が問われるのだ。
そして、今
9月18日、東京に赴く。
ランチ会とディナー会に、120名以上の経営者が私に会いに来てくれる。
ここまで来るのに4年かかった。
だが、今なら自信をもって言える。
もしこの4年のすべてを失ったとしても、恐れはない。
なぜなら「また一から始めればいいだけだから」だ。
そして今度は2年でやれるだろう。
そう思うと、かえってワクワクする。
挑戦に「遅すぎる」という言葉は存在しない。
結局は、自分がどう在るかに尽きるのだ。




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