ビジネスの本質
- ncu807
- 9月26日
- 読了時間: 2分
いつとは言わないが、1年で1千万円を稼いだことがある。
思いがけないほど短期間で大きな収入を手にした体験であった。
あるサイトに登録し、経営者や担当者を紹介してつなぐ。
それは私の得意分野であり、一度つなげば数万、時には十数万の報酬となった。
一か月で百万円を超えることもあり、積み上げれば一年で一千万円に届いた。
当時の私は、その仕組みの手軽さと収入の大きさに少なからず魅力を感じていた。
しかし、結局その仕事は一年で辞めた。
それは三十年前にお世話になった社長の言葉を思い出したからだ。
「その仕事は本当の意味で
お客様のためになっているか。
会社のためになっているか。
そして社会のためになっているか。
自分の仕事を常に問い直せ」
その言葉が胸に残っていた。
目の前の収入は確かに大きい。だが、果たしてそれは「本当に価値を生んでいる仕事」なのか。
正直に向き合ったとき、これは自分の成長につながらないと感じた。
楽に稼げる仕組みは、知らず知らずのうちに「お客様の利益よりも自分の利益」を優先してしまう危うさを持っている。
人を紹介し、つなげること自体は無駄ではない。だが、そこに継続性や積み重ねがなければ、やがて空虚な数字の遊びになってしまう。
経営者は日々、効率を求め、利益を追求する。
しかし、単発の収入や一過性の仕組みは、本当の実力ではない。
額に汗して築き上げ、試行錯誤を重ね、その上で初めて効率化やシステム化が意味を持つ。
順序を飛ばして手軽さだけを追えば、いざというときに立て直す力は育たない。
私は今も多くの人と会い、話をする。
「これをやれば簡単に儲かります」と耳にすることも少なくない。
確かに心が動く瞬間はある。
だが、その度に問い直す。
それは未来へと続く仕事なのか。
本当にお客様のためになるのか。
社会から見て価値があると言えるのか。
ビジネスの本質とは、短期的な収入に惑わされることではなく、積み上げの先に信頼と成長を築くことにある。
効率や利益は大切である。だが、その前提として「誰のために」「何のために」働くのかを外してはならない。
私は今日も自分に問う。
今取り組んでいることは、お客様、会社、そして社会のためになっているだろうか。
そして、自分自身の成長につながっているだろうか、と。




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