価値は、置き場所で決まる
- ncu807
- 2025年12月29日
- 読了時間: 2分
価値は状況が決める。
映画『ショーシャンクの空に』には、忘れがたい場面がある。刑務所の屋上で、囚人たちが炎天下の作業に追われている最中、主人公アンディは看守に近づき、命がけで交渉を持ちかける。
目的は金でも、自由でもない。望んだのは、たった数本のビールであった。
作業が終わり、囚人たちは屋上に腰を下ろし、冷えたビールを無言で飲む。誰も騒がない。笑い声もない。ただ、静かに喉を潤す。
しかしその瞬間、彼らは囚人ではなかった。労働力でも、番号でもない。一人の人間に戻っていたのである。
ビールの中身は、外の世界と何一つ変わらない。同じ味、同じ成分、同じ液体だ。
だが、自由を奪われた空間、選択肢のない生活、希望が枯渇した日常、この状況に置かれたとき、ビールは嗜好品ではなく「尊厳」そのものへと変わる。
ここで示されているのは、「物の価値」は中身で決まるのではない、という事実である。
この構造を思想の側面から語っているのが『嫌われる勇気』である。同書は一貫してこう示す。人は出来事そのものではなく、それに与えた意味によって苦しみ、あるいは救われる、と。
同じ環境でも、意味づけが変われば、行動が変わり、選択が変わり、人生の重さそのものが変わる。価値とは、対象の内部にある固定物ではない。状況と関係性の中で立ち上がるものである。
これはビジネスにおいても同様だ。
商品が売れない。評価されない。言っていることが伝わらない。
その多くは中身の問題ではない。置かれている「場所」の問題である。
刑務所の屋上で飲むビールと、街中の居酒屋で飲むビールが、同じ価値になるはずがない。価値は常に相対評価で決まる。
誰の前で差し出されたのか。どんな文脈で語られたのか。どんな欠乏の中に置かれたのか。
人は努力や能力を絶対値で測ろうとする。しかし現実はそうではない。結果を分けるのは、立ち位置の判断である。
もし今、自分の仕事や想いが安く扱われていると感じるなら、磨くべきはスキルよりも先に「場所」である。ビールを磨く必要はない。冷蔵庫を新しくする必要もない。それを本当に必要とする場所へ行けばいい。
価値は、作り込んだ瞬間に生まれるのではない。噛み合った瞬間に立ち上がる。
その判断を誤らなければ、人生も、経営も、無駄に消耗せずに済むのである。
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