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屋根裏に眠っていた父の人生 ― 遺稿が教えてくれたこと

  • 執筆者の写真: ncu807
    ncu807
  • 7月19日
  • 読了時間: 2分

原稿用紙の束がどっさりある。


父の遺稿だ。

そこには1925年から半世紀に亘る自身の歩みが書かれている。

私は高校生の時に初めてそれを読んだ。

屋根裏に隠されたかのように置かれていた400字詰め原稿用紙の束は父の30年の記録だった。

残りの20年分は齢80を越えて書かれたもので私もまだ読んではいない。


物心ついてから私は父がずっと嫌いだった。

何かにつけ怒られた。

ところがこの自伝を読んでから父は私の誇りになった。今でも出来るなら父を越えたい。そんな目指すぺき存在だ。


父は複雑な家庭環境で育ち小学校卒業後に家を出て自活した。丁稚奉公で旅館に住み込みながら働き始め15の頃は室蘭の軍需工場で働いた。徴用され石川県の部隊で訓練し終戦を迎え、上官のピストル自殺を目の当たりにしたそうだ。


復員し自分の父と弟を養い懸命に働いた。

私の母と見合いし結婚するまで書いてあった。

父は苦労しなから自分でその逆境を乗り越え懸命に生きてきた。

怒りっぽく口うるさい父のイメージが私の中で塗り替えられた。


それ以来、単純な私は父が好きになった。

老いて昔の話を繰り返す父のお陰でこうしてネタには困らない。

この自伝は原文のままいつか出版するつもりでいる。


父の遺稿にこんなことが書かれている。


「幸不幸は他人が決めるものではない。

 どんなに恵まれた境遇にあっても

 自らを不幸と思い悩む人もいる。

 またどんなに不遇であっても

 ささやかな日常に感謝し

 心豊かな人生を歩む者もいる。

 人生を終える時に過去を振り返り

 わが人生に悔いなしと言えることが

 本当の幸せなのかもしれない。」


今日も素敵な一日が始める。

悔いなき時間の使い方を心掛けたい。


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