時代が激変する今、あえて起業を勧める理由
- ncu807
- 8月14日
- 読了時間: 3分
1999年の春、テレビを観て全身に衝撃が走った。
朝の情報番組で、東京国際フォーラムの楽屋にいる若き経営者が紹介されていた。これから3千人を超える聴衆の前で登壇するというのに、彼はイヤホンで北島三郎を聴いていた。平然と、静かに。
クララオンライン創業者・家本賢太郎氏。当時18歳。1大病を患い車いす生活となった中、15歳で起業し、世界をつなぐインターネット企業を築いた。当時すでにアジア規模へと事業を広げていた。
その頃の私は36歳。年齢はちょうど半分。あまりの衝撃に、トムとジェリーのように後頭部をハンマーで叩かれた気がした。その日は仕事が手につかなかった。
当時、私は携帯ショップ運営会社の専務取締役。事業は順調、収入も安定。孫正義氏が「インターネット革命」を掲げ、楽天の三木谷氏が時代の寵児として注目を浴びていた。私もネットの未来に強く惹かれていた。
その夜、遊び半分で作った「バーチャルカンパニー」のネット仲間14人に呼びかけた。
「誰か、このバーチャルカンパニーをリアルな企業にしてくれないか!」
返ってきた答えは全員一致でこうだった。
「おまえがやれ!」
もしかすると、私はその言葉を待っていたのかもしれない。翌日、出社するや社長に辞表を提出した。何をやるかも決めずに走り出し、その夏に法人登記だけは終えた。だが実態は全国を飛び回り、見聞を広めるだけの毎日だった。
起業して分かったこと
私のような起業はおすすめできない。
現に26年経った今でも、やっと人並みの生活が送れる程度だ。成功者と呼べるような実績もない。
それでも私は、起業をすすめたい。
なぜか。
親になって初めて親の気持ちが分かるように、起業して初めて見える景色があるからだ。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というが、私はそうは思わない。経験に勝る学びはない。
起業で得られる最大の学びは、自分がこの世で本当に一人で立っているという事実だ。
生まれてからずっと、誰かが背中を支えてくれている。しかし起業すると、自分の後ろには誰もいないことを痛感する。決めるのも、動くのも、責任を取るのも、すべて自分だ。
2025年のあなたへ
起業は怖い。
収入は不安定になり、孤独と向き合う日々が続く。
それでも、自分で舵を握る人生は、何物にも代えがたい。
これからの社会は変化がさらに加速する。AI、気候変動、人口構造の変化──これらは既存の安定を根底から揺さぶるだろう。そんな時代に、受け身でいるより、自分で未来を創る側に回る方がよほど生きやすい。
もしこの文章を読んで少しでも胸がざわついたなら、それはあなたの中に「動きたい自分」がいる証拠だ。
衝撃を受けたあの日の私がそうだったように、あなたもその感覚を見逃さないでほしい。
起業は、あなたの人生を壊すかもしれない。
だが同時に、あなたが求める人生を始めるきっかけにもなると言っておこう。




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