🖋️ 書くことの意味と、ビジネスにおける「言語化」の力
- ncu807
- 11 分前
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〜父の原稿から学んだ内省の価値〜
高校生の時、私は屋根裏で父の古い原稿用紙の束を見つけました。それは、十五束・十二万字にも及ぶ、父の半生を静かに綴ったものでした。
当時、私は厳しく不器用な父をどう扱ってよいか分からずにいました。しかし、原稿を読み進めるうちに、父の言葉にならなかった思いや、躊躇、迷いが文字となって息づいているのを感じ、「父」を少しだけ理解できた気がしたのです。
人は、語らなかったことの中に、最も大切な気持ちをしまっているものだと、この時知りました。
その後、父はさらに原稿を書き足し、私に託してくれました。三十束の人生が、紙の上で静かに呼吸しています。時折その存在を思い出すたび、言葉の持つ重さと時間の温度を感じます。
🧹 書くことは、思考の「整理」であり「掃除」
私が日々の気づきをブログに書き始めたのは三十四歳の頃です。たいそうな理由はなく、心に引っかかった場面をメモするように書いていました。
しかし、続けるうちに、書く前と書いた後では、自分の捉え方が変わっていることに気づきました。
頭の中を流れる言葉をそのままにしておくと、思考は曖昧なままです。しかし、書くことで、思考に形が与えられ、輪郭が定まります。その結果、自分でも気づいていなかった感情や矛盾が浮かび上がってくるのです。
「本当はどう感じていたのか」
「なぜその選択をしたのか」
と、内なる自分に問い直すきっかけになります。
誰かに読んでもらうためではなく、自分の内側を整理するために書く。すると、今立っている場所が見え、これから向かいたい方向が静かに浮かび上がってくるのです。
👥 言語化されていない想いと、内省の重要性
私たちは対話の場に身を置くことが多いですが、結局のところ、人が語る言葉の背後には「まだ言語化されていない想い」が必ずあります。
ビジネスにおいても、この「言語化されていない想い」をどれだけ明確にできるかが、意思決定や問題解決の鍵となります。
書くことは、その手前の混沌をそっとすくい上げる行為です。
個人のキャリアプラン
企業のビジョンやミッション
プロジェクトの本質的な課題
これらを明確にするために、書くという内省の道具は誰にとっても必要不可欠です。
🗺️ 自分だけの「地図」を描くために
父が原稿に人生を置き換えたように、私もまた、ブログという形で自分の時間を少しずつ記しています。大したことを書いているわけではありません。取るに足らない日常の断片ばかりです。
それでも続けるのは、書くことで「昨日より少しだけ自分が分かる」から。
もし、あなたにも心のどこかで引っかかっている思いがあるなら、ビジネス上の小さな疑問でも、日常の気づきでも構いません。ほんの数行でも書いてみてほしいのです。上手でなくていい。誰かに見せる必要もない。
ただ、自分のために言葉を置く。
その積み重ねが、やがてあなたの思考を整理し、進むべき道を示す自分だけの地図になるでしょう。
だから私は、今日も静かに書いているのです。




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