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来ないでくれと言われた日から

  • 執筆者の写真: ncu807
    ncu807
  • 8月23日
  • 読了時間: 3分

「来なくていいよ。いや、来ないでくれ。」


あの日、札幌の経営者たちは口をそろえてそう言った。

2021年1月、コロナの影響でリアル面談は一切できなくなっていた。

「では、オンラインでの面談はいかがでしょうか?」と提案してみても、それもダメだった。まだ当時、経営者がオンライン商談を積極的に取り入れることは少なかった。八方ふさがり。まさに壁にぶつかった感覚だった。


ではどうするか。訪問もオンラインも叶わないなら、新規開拓しかない。

テレアポには自信がある。やってみた。

しかし返ってきたのは「社長は在宅勤務で出社しておりません」という事務的な返答ばかり。効率が悪すぎる。すぐに見切りをつけた。


そのとき、覚悟を決めた。

「オンラインに特化する」と。


決めたらやるだけだ。

まずはツールに慣れるために、無料セミナーやオンライン会合に積極的に参加した。

次に取り組んだのは、オンライン商談そのものを磨くこと。様々なIT企業に資料請求をし、あえて営業を受ける側に回った。


すると、商談の進め方が学べるだけでなく、ITツールの知識も増える。さらに代理店として販売の道も開ける。一石三鳥。これほど効率的な学びはなかった。


次のステップは新規開拓だ。

経営者マッチングアプリに登録し、交流会に参加。個別にアポを取り、毎日10人ペースで面談を重ねた。


そこで気づいたことがある。

「自分が新規開拓のために会いたい」と動くと、相手も「営業したいから会う」というケースが多い。つまり、お互いが売り込み合戦になる。成果にはつながらない。


むしろ本当に会うべきは、「自ら営業をしない経営者」だと気づいた。

そのためにSNSを駆使し、メールやLINE、メッセンジャーなどで丁寧にアプローチを重ねた。少しずつだが、会える経営者が増えていき、今では毎日2〜3人の新たな出会いを積み重ねられるようになっている。


振り返って思う。

何もなくても、始めることはできるのだと。

創業時、顧客はゼロ。自宅でパソコンに向かい、試行錯誤しながら出来ることを積み上げてきた。考え得るあらゆることを最大限にやっていけば、道は拓けていく。


毎朝欠かさず腹筋を20回だけやっている。

それでも正直つらい。しかし筋力は、楽をしていては決してつかない。

ビジネスも同じである。自分のできることだけを続けても実力は伸びない。出来ないことに挑み、それを出来ることに変えていく。人と会い、情報を集め、学び続けるしかない。


もちろん、こう書いてはいるが毎日が盤石なわけではない。

ドヤ顔で語った翌日に、自信喪失で落ち込むことも多々ある。そんな揺れを繰り返しながら、なんとか立っているのが私の日常だ。


最近の小さな習慣は、夜のエイジングケアマスク。

気分が沈んでいても、翌朝には少しだけ前向きになり、また胸を張って語れる自分に戻れる。

そんな自分の「リセットボタン」があるだけで、何とかなるものだ。


「来ないでくれ」と言われたあの日。

そこから始まった小さな試行錯誤が、いまの私を形づくっている。

さて、これからの数年後、私は「来てもいい」と言われるだろうか?

日々問い続けたい。


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