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画面越しの8,000人──信頼が生まれる瞬間

  • 執筆者の写真: ncu807
    ncu807
  • 8月9日
  • 読了時間: 2分

パソコンの画面の向こうで、ある方がふっと肩の力を抜き、短く笑った。

その瞬間、それまで張り詰めていた空気がやわらぎ、「あ、この人の本当の声が聞こえた」と感じる。


オンライン面談が日常になって、もう数年。

気づけば、2021年から私が行った面談は8,000件を超えた。

一日に何件も続く面談。次々と異なる背景を持つ人が現れ、目の前に新しい物語が広がる。

初めは、そのめまぐるしさに必死でついていくのが精一杯だった。

しかし、多くの出会いを重ねるうちに、画面越しだからこそ見える「共通のパターン」に気づいた。


「完璧な自分」を演じる難しさ


対面よりも、オンラインでは表情や空気感をつかみにくい。

だからだろう、多くの人が「完璧な自分」を演出しようとする。

整った背景、流れるような話し方、用意された模範解答。


けれど、完璧な人などいない。

会話の途中で緊張がこわばったり、言葉が詰まったりする瞬間が訪れる。

不思議なことに、その不完全さが、その人の誠実さや人間味を際立たせるのだ。

飾らない言葉で話してくれたとき、私はその人の本質に触れたような感覚を覚える。


「聞く力」が信頼をつくる


オンラインでは、言葉のキャッチボールがわずかにずれる。

だからこそ、相手の話を最後まで聞き切ることが、対面以上に重要になる。


しかし、多くの人は「自分の番」を待っているように見える。

相手が話し終える前に、すぐ自分の意見を返してしまう。

これは、オンラインという場の特性をまだ十分に活かせていないからかもしれない。


相手の言葉の端々から、本当に伝えたいことや抱えている悩みを汲み取るには、注意深く耳を傾けるしかない。

8,000件の面談を通して確信したのは、「話す力」よりも「聞く力」が、はるかに大きな信頼を生むということだった。


画面の向こうにある物語


私が面談で最も大切にしているのは、履歴書や経歴書には書かれていない、その人だけの物語に耳を傾けることだ。

なぜこの道を選んだのか。

どんな困難を乗り越えてきたのか。

そして、これから何を成し遂げたいのか。


オンライン面談は、ただの書類審査の延長ではない。

そこには、何十年にもわたる人生と、それによって育まれた情熱や想いがある。


8,000件の面談は、8,000通りの人生との出会いだった。

その一つひとつに真摯に向き合う中で、私は多くを学び、成長させてもらった。


これからも、画面の向こうにいる一人ひとりの物語に光を当て、共に未来を考える時間を大切にしたい。

そして今日も、誰かの人生と向き合いたい。

そう願っている。


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