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自律稼働型マッチングOSへの助走:暗黙知から形式知への転換

  • 執筆者の写真: ncu807
    ncu807
  • 2025年12月24日
  • 読了時間: 3分

2028年11月23日。私はこの日を、弊社のサービスが「自律稼働型OS」へと完全に移行するXデーと定めている。先日、丸一日を投じて行った作業は、この壮大な構想を抽象的なビジョンから、血の通った具体的な実務工程へと落とし込むための重要な一歩であった。

これまで、経営者育成研究会におけるマッチングの核心は、私自身の経験、記憶、そして文脈理解といった「暗黙知」に委ねられてきた。数千件に及ぶ面談で培われた直感的な判断は、確かに高い精度で成果を生んできた。しかし、それは裏を返せば「私という個体がいなければ機能しない」という属人化の課題そのものでもある。組織の永続性と拡張性を追求する上で、この限界の突破は避けて通れない命題である。

1,000件のリストをAIが解釈可能な「構造」へ

まず着手したのは、約1,000件にのぼる経営者リストの構造化である。単なるテキスト情報の羅列を、AIが論理的に判別可能な「データ」へと変換する作業だ。

専用のAIツールを駆使し、事業領域、成長フェーズ、経営課題、価値観、強み、保有リソースなど、最大16の属性項目を一件ずつ抽出した。AIによる一括処理は効率的ではあるが、今回はあえて精度を最優先し、5件ずつ内容を精査しながら200回繰り返すという愚直な工程を採用した。

現時点ではデータの揺らぎや定義の不一致といった微細な課題は残るものの、1,000人の背景を「意味を持つデータ」として整理したことで、AIが文脈を解釈するための強固な土台が構築された。

マッチングロジックの実装と「信頼」の担保

次なる工程は、マッチングプロセスのAI化である。会員コードから瞬時に人物を特定し、「特定領域」「企業規模」「現在のフェーズ」といった複合的な条件に対し、データベースに基づいた根拠ある候補を提示する仕組みを構築した。

現在はまだ、AIの提示する解が私の直感と乖離する場面も少なくない。しかし、ここで重要なのは「優れた知能」を作ることではなく、実務において「信頼に足る出力」を得ることである。特に、事実に基づかない情報を生成するハルシネーション(幻覚)を徹底的に排除するため、アップロードした内部データ以外からは回答させない厳格な制約を設けた。この調整の繰り返しこそが、システムに魂を吹き込む作業に他ならない。

面談ログという「資産」の活用

並行して、過去1年間で蓄積された約2,000件の面談ログ(TLDVによる文字起こしデータ)の構造化も開始した。過去の苦悩、成功体験、そして潜在的な強みを整理し、次回の面談前にAIが最適な論点を提示する仕組みだ。

これは単なる事務作業の効率化ではない。人間同士の対話の蓄積を、個人の忘却しやすい記憶から解放し、組織の資産として保持するための試みである。これにより、対話の質はより深化し、次なる判断の精度は飛躍的に高まるだろう。

熟練工から、仕組みの設計者へ

これまでの私は、自身の感覚を頼りに道を切り拓く「熟練工」であった。しかし、これからの役割は、その熟練のプロセスを分解・解析し、センサーと自動制御を備えた「仕組みの設計者」へと転換することにある。

今回の作業でようやくシステムは試運転を開始した。精度向上に向けた調整の余地は広大だが、「道を掘る人」から「誰でも道を掘れる仕組みを創る人」へのパラダイムシフトは、すでに不可逆的な流れとして始まっている。

2028年に向けた工程表の上に、確かな楔(くさび)を打ち込むことができた。人がより人らしい創造的な思考に集中し、AIが適切な接続と整合を担う。NCU合同会社が目指す次世代の経営支援の形に向け、今後も淡々と、かつ大胆に検証を継続していく。


 
 
 

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