自分を信じられなかった20代と、それを越えたきっかけ
- ncu807
- 3 日前
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大学を卒業できなかった。
自分はダメな人間だと思った。
このままではいけない。そう思いながらも、何もうまくいかなかった。
心の中で、何かが少しずつ、しかし確実に、壊れていくのを感じていた。
時は、バブル景気の終盤。
求人は売り手市場で、営業職ならいくらでも求人があった。
だが、どうしても気が進まなかった。
営業と聞いて思い浮かぶのは、「ノルマ」「軍隊」「怒られる」といった言葉ばかりだ。
それでも、自分にはもう選択肢がないのではないかと思った。
きっかけは、ある経理職の面接だった。
私に向かって、担当者はこう言い放った。
「あなたね、何しに来たの? 資格も経験もないのに」
けちょんけちょんに言われた。
心が、ぽっきり折れた。
もう営業しかない。
そう思った。というより、思い込んだ。
かなりの覚悟を持って、リコーの営業職としての人生が始まった。
そして始めるとき、自分の中で二つのルールを決めた。
・上司や先輩の指示には、疑いなく従う
・人の言葉を悪く受け取らない。どんなに理不尽に思えても、そこには意味があると信じる
あれほど嫌だった営業の仕事。
だが、やってみると意外にも楽しかった。
「今日は50件飛び込め」と言われれば、その通りに動いた。
「今月はこれだけ売れ」と怒鳴られれば、怒鳴られないように結果を出す努力をした。
気がつけば、営業職として30年以上が経っている。
やってみなければ、わからないことは多い。
「食わず嫌い」は、人生の可能性を狭めてしまう。
口にしてみる、ほんの少しの勇気。
それを咀嚼し、自分の中に取り込んでいく元気さえあれば、人は前に進める。
あのとき信じられなかった自分も、
今では静かに、肯定できるようになった。
信じるとは、過去を振り返ることではなく、
「いま、ここからでも歩き出せる」と思えることなのかもしれない。

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